オートファジーとは、
細胞が自らの成分を分解し、
再利用する仕組み。

私たちの体は、およそ37兆個の細胞からできています。細胞の中では、エネルギーをつくるミトコンドリアをはじめとするさまざまな器官や、数万種類ものタンパク質が、それぞれの役割を担っています。

オートファジーは、こうした細胞の中身を分解し、新しい材料として再利用することで、細胞を健やかに保つ仕組みです。「自ら(Auto)」を「食べる(Phagy)」という語源のとおり、細胞が自分自身の一部を取り込んで分解することから「自食作用」とも呼ばれます。

Mechanism オートファジーの仕組み

オートファジーは、次の4つのステップで進みます。

  1. Step 1

    隔離膜の形成

    細胞の中に膜が現れ、分解する対象を包み込みはじめます。

  2. Step 2

    オートファゴソームの形成

    膜が閉じて、分解する対象を内側に閉じ込めた小さな袋ができます。

  3. Step 3

    リソソームと融合

    分解酵素をもつ「リソソーム」と融合します。

  4. Step 4

    分解・再利用

    中身が分解され、アミノ酸などの新たな材料として再利用されます。

Roles オートファジーの2つの役割

オートファジーには、大きく分けて2つの役割があることがわかってきました。

  • 01 Renewal

    細胞の新陳代謝

    細胞の中身を少しずつ分解し、同じものをつくり直すことで、細胞は見た目を変えずに中身を入れ替え続けています。分解によってできたアミノ酸などは、新しいタンパク質の材料として再び使われます。いわば、細胞の中の「リサイクル」です。

  • 02 Clearance

    有害なものの排除

    オートファジーは、細胞の中に入り込んだ細菌や、傷んだミトコンドリア、異常なタンパク質のかたまりなど、細胞にとって有害なものを選び出して分解する働きももっています。こうした働きは、細胞を守る仕組みのひとつとして研究が進められています。

Why It Matters 病気・老化との関わり

オートファジーの働きが弱まると、
何が起きるのか。

オートファジーの働きが弱まると、細胞の中に不要なものや有害なものがたまりやすくなります。

これまでの研究で、高脂肪の食事を与えたマウスでは肝臓のオートファジーが低下し、脂肪がたまりやすくなることが報告されています。また、オートファジーの働きは年齢とともに低下することがわかっており、神経変性疾患や腎臓の線維化など、加齢に伴う病気との関わりについても研究が進められています。

  • 01 Quality Control

    細胞の品質管理

    細胞の中を清潔に保つ、生命の基本的な仕組みのひとつとして研究されています。

  • 02 Disease Research

    病気との関わり

    神経変性疾患や生活習慣病など、さまざまな病気との関わりが研究されています。

  • 03 Aging Research

    加齢との関わり

    年齢とともに働きが低下することがわかり、加齢との関係が注目されています。

※ ここで紹介している内容は研究段階の知見であり、特定の食品・製品などの効果を示すものではありません。

Research in Japan 日本のオートファジー研究

世界の研究をリードする、
日本のオートファジー研究。

オートファジーの存在は1950年代から知られていましたが、その仕組みは長い間ほとんど解明されていませんでした。

大きな転機となったのは、大隅良典博士による酵母を使った研究です。大隅博士がオートファジーに必要な遺伝子群を突き止めたことで、世界中で研究が一気に進み、2016年には大隅博士にノーベル生理学・医学賞が授与されました。現在では、世界で年間数千報もの論文が発表される研究分野へと成長しています。

大隅博士は、オートファジー研究がやがてヒトを含む哺乳類で大きく発展すると考え、1996年、哺乳類の細胞生物学を専門とする吉森保(現・当機構 代表理事)を研究室に迎えました。その後、日本の研究者は哺乳類のオートファジー研究でも世界を牽引し続けています。

主な発見

  • 2000

    オートファジーの「目印」を発見

    哺乳類のオートファゴソームに結合するタンパク質「LC3」を発見。オートファゴソームを見分ける目印として、現在も世界中の研究で使われています。

  • 2004

    細菌を排除する働きを発見

    細胞の中に侵入した細菌を、オートファジーが包み込んで排除することを明らかにしました。免疫細胞に限らず、さまざまな細胞で起こる仕組みです。

  • 2009

    ブレーキ役「Rubicon」を発見

    オートファジーの働きを抑える「ブレーキ」として働くタンパク質「Rubicon(ルビコン)」を発見しました。

  • 2016 / 2019

    Rubiconと病気・老化

    肝臓でRubiconを働かなくしたマウスでは、高脂肪の食事でも脂肪がたまりにくいこと(2016年)、線虫やショウジョウバエでRubiconを除くと寿命が延びること(2019年)が報告されています。

※ 吉森保らの研究グループによる主な成果

History 研究の歩み

  1. 1950s

    細胞内で自らの成分を分解する現象が見つかる

  2. 1963

    クリスチャン・ド・デューブが「オートファジー」と命名

  3. 1993

    大隅良典博士が、酵母でオートファジーに必要な遺伝子群を報告

  4. 1996

    吉森保が大隅研究室(基礎生物学研究所)に参加し、哺乳類の研究を本格化

  5. 2000

    哺乳類のオートファゴソームの目印「LC3」を発見

  6. 2004

    オートファジーが細胞に侵入した細菌を排除することを発見

  7. 2009

    オートファジーのブレーキ役「Rubicon」を発見

  8. 2016

    大隅良典博士がノーベル生理学・医学賞を受賞

  9. 2019

    Rubiconを除くと線虫やショウジョウバエの寿命が延びることを報告

  10. Now

    病気や老化との関わりなど、世界中で研究が進展

Science to Society 研究を、正しく社会へ。

オートファジーへの関心が高まるなか、科学的な根拠に基づく正確な情報が、これまで以上に求められています。国際オートファジー研究機構は、最新の研究をわかりやすくお伝えする講演会などを通じて、研究と社会をつなぐ活動を行っています。

本ページの情報は、オートファジーに関する一般的な知識の提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。また、特定の食品・製品などの効果効能を示すものではありません。

Join / Contact 入会・協賛に関するご相談

賛助会員・協賛、講演会、取材に関するお問い合わせはこちらから承ります。